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2020.01.27

スイスイ走れる!新しい車いすのアイデアをください〜柳澤大輔さん・新子明希さん・シモダテツヤさん対談〜

Photo by 難波由香
SPEAKER
対談

柳澤 大輔(ヤナサワ ダイスケ)さん
柳澤 大輔(ヤナサワ ダイスケ)さん

面白法人カヤックの代表取締役CEO。本社のある鎌倉から、オリジナリティとユーモアあふれるコンテンツを、WEBサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信。著書に「鎌倉資本主義」など。
https://www.kayac.com/


SPEAKER
対談

新子 明希(アタラシ ハルキ)さん
新子 明希(アタラシ ハルキ)さん

株式会社シンクスマイルの代表取締役。同社では「世界でいちばん人を輝かせる会社」を目標に掲げ、ホメることで組織の課題を解決する仕組み「RECOG(レコグ)」などを提供。
https://5smile.com/


SPEAKER
対談

垣内 俊哉(カキウチ トシヤ)
垣内 俊哉(カキウチ トシヤ)

1989年に愛知県安城市で生まれ、岐阜県中津川市で育つ。生まれつき骨が脆く折れやすいため、車いすで生活を送る。障害を価値に変える「バリアバリュー」を提唱し、大学在学中に株式会社ミライロを設立。


SPEAKER
対談

シモダテツヤ さん
シモダテツヤ さん
  • 2009年、株式会社バーグハンバーグバーグを設立、変テコなプロモーション企画や「オモコロ」などの人気メディアを輩出したのち、同社を2019年1月に退任。著書に「日本一「ふざけた」会社のギリギリセーフな仕事術」現在は、タイの山奥に移住中。
    https://note.com/shimoda4md

垣内
垣内
入院とは直接関係がないのですが、今回はぜひ「車いす」について知恵を貸していただきたいと思います。退院したら、入院中の遅れを取り戻さないといけないので……スイスイ移動して、バリバリ働ける、世にも新しい車いすのアイデアを!(笑)
車いすって、どれくらいのスピードが出るの?
柳澤
垣内
垣内
僕だと、自分の手でこいで時速11kmくらいは出ます。
速っ!チャリやん。
新子
垣内
垣内
電動車いすだと、出せるスピードが法律で決まってるんですけどね。時速6kmです。
そうかあ。速くて、スイスイ移動できる感じが良いなあ……。
新子
それ、なに書いてるの?(笑)
柳澤
これです。
新子
まったくわからない……。
柳澤
垣内
垣内
どういうことですか?(笑)
これはね、車イヌ。
新子
垣内
垣内
車イヌ……?
イヌの背中に、椅子がついています。ジブリの映画・もののけ姫でサンが乗ってる、山犬みたいなイメージです。「黙れ小僧!」とか言います。
新子
ああ、自分で走らなくても、イヌが運んでくれるんだ。それは良いね。でもそれだと、正しい名前は“イヌ車”だよね。
柳澤
垣内
垣内
巨大だから、餌代とかめちゃくちゃかかりそうですね。
黙れ小僧!
新子
動物に運んでもらうっていう考え方は、昔からあるよね。諸葛亮孔明の馬車とか、雪国の犬ぞりとか。
柳澤
俺は、自分を孔明の生まれ変わりだと思ってるから。魏蜀の戦いとか、ちょっと前世の記憶があるし。
新子
その記憶は、最近読んだ三国志の漫画の記憶でしょ。(笑)
柳澤

車いすが変われば、コミュニケーションの機会が増える?

垣内
垣内
でも、僕は動物が好きなので、イヌ車に乗ってみたいです。「乗りたい」って思える車いすは良いですね!車いすを見ると反射的に「助けたい」と思っている人が多いと思うので。
「助けたい」って思われた方が良いなら、車いすから血糊が吹き出す方が効果的なはず。
新子
垣内
垣内
血糊は嫌だな……。(笑)
乗ってるだけでコミュニケーションの機会が増える車いすはどうだろう?助ける助けないはいったん置いておいて、思わず、声をかけたくなる機能をつけよう。
柳澤
垣内
垣内
ああ!以前、デザインがカッコいいWHILLという電動車いすに乗ったことがありますが、めずらしいのか声をかけてもらうことが増えました。それは良かったかもしれません。
カッコいいっていうのは、やっぱり重要だね。テクノロジーをバリバリに活用する方向と、高級感のある素材を使う方向と、二方向あると思う。
柳澤
モフモフしてて、思わず触りたくなる素材にしたら?
新子
それはもうイヌ車じゃん。(笑)
柳澤
垣内
垣内
いま思いついたのですが、車いすにサイドカーを取りつけたら、誰かと一緒に乗ることができて楽しいかも。タクシーみたいな仕事もできますし。
「君の家どこ?送るから乗っていきなよ」って、ナンパにも使えるね。
柳澤
ワインクーラーも取りつけておけば、さらに話が盛り上がる!
新子
垣内
垣内
絶対に重いですね……。(笑)そういえば僕、子どもの頃に、友だちの自転車と自分の車いすを縄でくくって、引っ張ってもらって移動してました。すごく楽でした。
えっ、怖っ!
新子

手動車いすで移動しやすいのは、日本だからこそ

車いすを改造するんじゃなくて、アタッチメントを充実させるっていう考え方は盲点だった!そっちの方が拡張性ありそう。
柳澤
ロボットに車いすがはめ込まれて、合体するとか?
新子
それはもう、ロボットの方が本体になっちゃう。(笑)
柳澤
垣内
垣内
手動車いすの背面に装着して、走行をアシストしてくれるアタッチメントはもう発売されています!普段は手でこぐけど、ちょっとしんどい上り坂だけは電動で走行できるので、便利そうです。
手動車いすと電動車いすって、どっちの方が便利なの?
新子
垣内
垣内
人によります。手を動かしづらい人にとっては、もちろん電動の方が便利です。でも、日本は手動車いすを、アメリカは電動車いすを選ぶ人が多いと言われています。日本では、自分でこぐことで身体を鍛え、リハビリの効果を得ることが推奨されています。一方、アメリカでは、骨や筋肉を消耗しないように、電動にすることが推奨されているんです。
国によって流行ってる考え方が違うんだね。
柳澤
垣内
垣内
あとは、土地の問題もありますね。アメリカの広大な土地を移動するなら手動よりも電動の方が楽だし、ヨーロッパの土地は景観を守るために石畳の道が多く、これも電動の方が移動しやすいです。こんなにコンパクトな手動車いすで移動しやすいのは、道がコンクリートで整備されている日本だからこそですね。
平らな道だったら、日本の方が車いすで移動しやすいのか!でも、日本って狭いから、階段も坂道も多いよね?
新子
垣内
垣内
そうなんですよ。
じゃあ、階段をのぼれる車いすは絶対にあった方が良いな。
柳澤
垣内
垣内
イスラエルで、キャタピラ付きの車いすが登場したらしいです。あれなら階段をのぼれるかも。

最強の人力、戸愚呂兄弟ソリューションとは

以前、シモダさんが提唱してた“戸愚呂兄弟ソリューション”っていうのがあって。
新子
垣内
垣内
戸愚呂兄弟ソリューション……?(笑)
漫画・幽遊白書の戸愚呂(弟)のように身体が大きくて強い人をスカウトし、その肩にカッキーが戸愚呂(兄)のように乗る。これでどんな階段も余裕で上れるという算段!
新子
垣内
垣内
車いすではなく、人に頼れと。(笑) でも、実際はそうなんですよね。一段くらいの段差であれば、自分で車いすの前輪を浮かして、ウィリーさせて上ることができます。でも、二段以上になると、道行く人や、お店の人たちに助けてもらうことが多いです。
災害時は素早く階段で逃げないといけない時もあるから、背負いやすい車いすがあっても良いね。車いすからランドセルみたいな紐が伸びてくるとか。
柳澤
垣内
垣内
そうですね!あとは、僕が圧倒的に助けてもらうことが多いので、恩返しができる車いすも良いかもしれません。さっきのサイドカーみたいに。
タイヤに磁石をつけて、小銭が集まるようにするのは?助けてくれた人にお小遣いとして渡せるし。
柳澤
垣内
垣内
外出する楽しみができますね。(笑) あとは、車いすをこげば発電できる充電池があれば、災害時に避難所で役に立てるかもしれません。
災害時に、自分と他人の命を守るっていう観点は、すごく重要!
新子

目線の高さで、痴漢と間違えられないか不安

他に、こんなことに困るっていうのは?
新子
垣内
垣内
うーん、満員電車で痴漢と間違われないか不安です。車いすに乗っていると、目線がちょうど立っている人のお尻の高さなので……。ものすごく気を遣います。
満員電車って、混んでるけど、頭の上のスペースは空いてるよね。ボタンを押せば車いすの高さがグイーンと伸びて、空中に浮くのはどうかな?
柳澤
それ良いなあ。俺の場合はクイーンサイズのベッドにその機能つけたい。ベッドに寝たまま移動できるけど、ちょっと人に見られたくない時は高い場所に浮いてて、誰かと話がある時だけ、下に降りてくる感じ。
新子
垣内
垣内
見られたくない時ってなんですか?(笑)
キュウリパックしてる時とか。
新子
垣内
垣内
でも、高さが変えられるのは嬉しいです。ラーメン屋のカウンター席に座るのがいつも大変で、カウンター席の高さにあわせて車いすが上下してくれるなら、すごく便利です。高さだけじゃなくて、幅も変えられるようにしたいです。狭い道を通る時に便利なので。
他に、困っていることは?
柳澤
垣内
垣内
収納の方法ですね。クッションを取り外して、座面を引っ張って、両側から挟むようにして折りたたんで……という作業をタクシーに乗る度、繰り返すのが面倒なので、もっと簡単にたためるようになったら助かります。
漫画・ドラゴンボールのホイポイカプセルを作ろう。
新子
それは最高に便利だけど。(笑) ワンタッチで小さくなったら良いね。あとは、普段はバックパックみたいに背負えて、使う時だけ組み立てて車いすになるのも、面白そう。
柳澤
普段から車いすを着るようにしようか。ボディーアーマーみたいに。ボタンを押すと、プシューッ、ジャキン、ガシャン、デデーン!って感じで、身につけたすべての部品が車いすになればカッコいい。
新子

ここまでの流れを、シモダさんに送ったところ、スイスイ移動できる車いすについてアイデアを寄せていただきました。

シモダ
シモダ
車いすごと、宇宙空間に打ち上げるのはどうでしょう?

訓練に膨大な時間と、予算を要しそうですが、縦横無尽にスイスイ移動できそうですね!

最近、車いすに乗っていてサイフを盗られました

垣内
垣内
そういえば最近、車いすに乗っててサイフを盗まれました。
どういうこと!?
新子
垣内
垣内
僕、車いすの後ろのポケットに、サイフを入れて移動してるんです。それで、狭いトイレに入る時は、入り口に車いすを置いていくんですけど、うっかりサイフを入れたままにしちゃって。トイレから戻ったら、盗られてました。(笑)
なんと痛ましい。車いすから電流が流れるように改造しよう。
新子
垣内
垣内
でも意外と落ち込まなかったんです。車いすユーザーってかわいそう、とか、助けたい、とかっていうイメージがあったと思うんですけど、ついに車いすユーザーからモノを盗るヤツが出てきたのか!と、新しい時代の幕開けを感じました。
どんだけポジティブなの!?(笑)サイフ盗られてそんな風に思う人、いないでしょ!
新子
垣内
垣内
ショックが一周回って、ポジティブになりました。(笑)

未来の車いすは、一体どうなってる?

アイデアが煮詰まってきたので、カヤックさんの「ブレストカード」を使って、アイデアを出してもらいました。カードを引き、カードに描かれているイラストから自由に発想します。

20XXという、未来を表しているようなカードが出ました。

垣内
垣内
未来と言えば、未来が舞台のディズニーの映画・ウォーリーだと、車いすは空を飛んでいました。実は、未来では皆が労働をロボットに任せきりにして太りすぎたため、歩いて移動ができなくなるという風刺でしたが。
もう数年したら、車いすも普通に浮いてる気がするけどね。ドローンみたいに。車いすにドローンを取り付けるのは規制で難しくても、ドローンに車いすを取り付けるっていう逆転の発想ならいけるかも……?
柳澤
実際に浮けなくても、車いすを光学迷彩で完全に覆って透明にするのはどうだろう。車いすが見えなくなれば、カッキーだけ浮いてるように見える。1ヶ月間、言葉を失ったことで、浮きましたって言い張ろう。
新子
垣内
垣内
別の能力を身につけてしまった、と。(笑)
こうやって車いすについてじっくり考えたことはなかったけど、車いすがもっと便利になれば、色んな人たちに喜んでもらえそうな気がするね。
柳澤
垣内
垣内
日本だけでも、車いすを使っている人は1000万人近くいると言われていますから、決して少ない市場ではないんです。日本は医療水準が高いので、障害者の人数は全人口の7%と世界的に見ても少ない方ですが、多い国だと15%を越えます。
けっこういるね!でも、街で車いすユーザーをめちゃくちゃいっぱい見かけるかって言うと、そうでもないから、外出する機会が少ないのかな……。
柳澤
垣内
垣内
そうですね……。街で見かける機会が少ないと、「便利な車いすを作ろう!」と思う人も少ないので残念です。でも、これから高齢化で、車いすが必要な人はもっと増えてくるので、確実にマーケットは広がっていくと思います。今日、お二人から色んなアイデアをいただけて、本当に良かったです。
車イヌを、ぜひ。
新子

最後に、入院を控えた垣内へ一言

もう十数回目の手術だっけ? カッキーは、達観してるよね……。
柳澤
うん。俺なんて、麻雀に負けただけで死のうかなと思うのに。(笑)
新子
俺も。自分は人間以下だ、とか思うよね。(笑)
柳澤
垣内
垣内
僕はお二人の話にいつもゲラゲラ笑うだけで、めちゃくちゃ救われてます。マイナスなことを、アプローチを変えて、ポジティブに捉える……ということを、お二人からいつも教わっています。
俺は脱線してばっかりだったけど、今日は柳澤さんがいて本当によかった。
新子
入院して喋られなくなる、っていう経験は価値になると思う。組織も変わるきっかけになるだろうし、何かしらの結果はついてくるはずだよ。
柳澤
いい話だわ〜。それは今、俺が言ったことにしておいてね。
新子
全部取られた……。(笑)
柳澤

柳澤さん、新子さん、シモダさん、ありがとうございました。みなさんのエールのおかげで、現在、垣内は無事に手術を終えて、療養中です。2月の完全復帰に向けて、日々トレーニング中です。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。

会社の研修用、アイデアに詰まった時のお助けアイテム、会議のアイスブレイク用に!今回の記事でも活躍したカヤックの「ブレストカード」についてはこちらをご覧ください。
WRITER
執筆・編集
岸田奈美
1991年生まれ、神戸市出身。下半身麻痺で車いすユーザーの母(ひろ実)と、生まれつきダウン症で知的障害のある弟(良太)と暮らす。亡き父の才能をくまなく受け継ぎ、自分が愛するものに関して、100文字で伝わることを2000文字で伝える。

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