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2020.01.19

声が出せなくなる垣内をお助けください! 〜柳澤大輔さん・新子明希さん・シモダテツヤさん対談〜

Photo by 難波由香
INDEX
目次

喉の手術により、1ヶ月ほど短期入院をする、株式会社ミライロの垣内俊哉。手術後はしばらく喋られなくなったり、車いすで自由に動き回れなくなったり、少しだけ不便な状況が続きます。

どうせならバリアフリーについて、より深く考えるせっかくの機会にしよう!ということで、垣内のことをよく知るユニークなお三方に、お集まりいただきました。

SPEAKER
対談

柳澤 大輔(ヤナサワ ダイスケ)さん
柳澤 大輔(ヤナサワ ダイスケ)さん

面白法人カヤックの代表取締役CEO。本社のある鎌倉から、オリジナリティとユーモアあふれるコンテンツを、WEBサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信。著書に「鎌倉資本主義」など。
https://www.kayac.com/


SPEAKER
対談

新子 明希(アタラシ ハルキ)さん
新子 明希(アタラシ ハルキ)さん

株式会社シンクスマイルの代表取締役。同社では「世界でいちばん人を輝かせる会社」を目標に掲げ、ホメることで組織の課題を解決する仕組み「RECOG(レコグ)」などを提供。
https://5smile.com/


SPEAKER
対談

垣内 俊哉(カキウチ トシヤ)
垣内 俊哉(カキウチ トシヤ)

1989年に愛知県安城市で生まれ、岐阜県中津川市で育つ。生まれつき骨が脆く折れやすいため、車いすで生活を送る。障害を価値に変える「バリアバリュー」を提唱し、大学在学中に株式会社ミライロを設立。


SPEAKER
対談

シモダテツヤ さん
シモダテツヤ さん

2009年、株式会社バーグハンバーグバーグを設立、変テコなプロモーション企画や「オモコロ」などの人気メディアを輩出したのち、同社を2019年1月に退任。著書に「日本一「ふざけた」会社のギリギリセーフな仕事術」現在は、タイの山奥に移住中。
https://note.com/shimoda4md


今日も完全にノープランでやって来ましたよ!
新子
素晴らしい。僕もノープランです、よろしくお願いします。
柳澤
垣内
垣内
突然お呼び立てして、すみません。(笑) 今日は、新子さんと柳澤さんとシモダさんにお願いしたいことがあり、集まっていただきました。
えっ、シモダさんもいるの?タイの山奥に移住したんじゃなかった?
柳澤

※シモダテツヤさんは現在、タイにある大量の象が住む村に移住されています。

垣内
垣内
シモダさんにはテレビ通話でご参加いただこうと思ったのですが、ネット環境が思いのほか脆弱だったのと、タイの領事館に朝から並ぶ予定があり、通話を繋げないみたいで……。後から、原稿を見ていただいて、メッセージを寄せていただく形になりました。
じゃあ、僕たちがシモダさんの発言を勝手に考えて作りましょう。シモダさんの思考はなんとなく読めるので。
新子
ミライロもスロウプも、結構マジメな路線じゃなかった?こんな感じで大丈夫?(笑)
柳澤
垣内
垣内
大丈夫です!今日は、私のフランクな相談に乗ってもらいたいんです。
いいですよ!なんでも乗りましょう。
新子
垣内
垣内
実は、私が喉の手術で、1月末まで入院することになりました。手術の後はしばらく話せなくなります。そこで、声を使わずに、コミュニケーションを取るにはどうしたら良いか?について、皆さんのお知恵を借りたいんです。

声を使わなくても、コミュニケーションを取るには?

なるほど。そのアイデアを僕らでブレストしましょう、ということですね。
柳澤

柳澤さんがCEOを務める面白法人カヤックには、ブレスト(集団でアイデアを出す会議手法)という文化が根づいています。今回は、入院する垣内を元気づける面白いアイデアから、発声が難しい人たちを勇気づける真面目なアイデアまで、幅広くブレストしてもらいたいと思います。

ちなみに、本当に一言も喋られなくなるの?
新子
垣内
垣内
少しずつ声は出てくると思いますが、術後すぐは痛みが強くて喋られませんね。
そうなんだ。じゃあ、声でコミュニケーションがとれなくなる……と。
新子
意思表示ができるカードを作るのはどうだろう?最低限、喜怒哀楽の4種類があれば、感情表現はできるし。あとから、どのカードをどのくらいの割合で使ったかが分析できたら、おもしろそう!

アイデア①
意思表示ができるカードを作り、使った結果を分析する

垣内
垣内
良いですね!使ったカードの比率を意識したら、自分の感情をコントロールしやすくなるかも。今日はちょっと怒りすぎたな、とか。
でもね、僕、思うんだけど。人間の感情って、喜怒哀楽だけじゃないよね?
新子
垣内
垣内
他にどんな感情がありますか?
たとえば僕は、喜怒哀楽の「ぬ」の表情ができるわけだけど。
新子
垣内
垣内
喜怒哀楽の「ぬ」!?
この顔。
新子
感情がまったく読み取れないことだけは、伝わってくる……。
柳澤
垣内
垣内
もはやカードすらいらないですね。(笑)
俺は顔芸ができるから、それでなんとかなりそう。
新子
「ぬ」の他に、表すべき感情ってあるかな。
柳澤
それはやっぱり……ムラムラした時の「ムラ」じゃないかな。言わずもがな。あっ、これはシモダさんが発言したことにしましょう。
新子
カードじゃなくても、手話を使えるようになるのが良いんじゃない?
柳澤

アイデア②
入院している間に、手話を覚えて使えるようになる

垣内
垣内
私もそう思って、会社のスタッフに習ってみたものの、指文字や簡単な会話くらいしかまだ使えないんです。
練習が必要なんだね。たしかに、英語と一緒で日常的に使い続けてないと、忘れてしまいそう。
柳澤
垣内
垣内
手話じゃなくても、筆談やスマホの画面に文字を打ち込んで、話す手段はあるんですよ。他にも、口の動きだけを読み取ってもらう「口話」とか。
「手話」「口話」があるなら、「目話」があってもおかしくないよね?それは無理です、っていう意志を、目だけで訴えられるはず。
新子

アイデア③
目だけで意志を伝える「目話」を新たに編みだす

「それは無理です!」の目、とかね。目は口ほどにものを言うし。
柳澤
もしくは「脳話」とか? 脳波を読み取って、思っていることをPCの画面に表示させるのはどうだろう。
新子
垣内
垣内
そう言えば、脳波を検出して、音声に変換する仕組みの開発も進んでるらしいですよ。

参考「あなたの心をマシンが読み取り、代わりに“話す”日がやってくる──脳波から音声を合成する実験に成功」
https://wired.jp/2019/06/28/machine-reads-your-mind-talks/

PCの画面だといちいち読まなきゃいけないから、もっとシンプルにしよう。頭にライトをつけるのはどう?感情ごとにライトの色が変わるとわかりやすい。
柳澤

アイデア④
感情によって光るランプを、頭に取り付ける

嘘ついたら光るとかね。本当はポカリが欲しいのに、看護師さんから「お茶がほしいんですね?」って言われたら、気をつかってハイって言っちゃうけど、それは嘘だからランプが光る、という。
新子
垣内
垣内
忖度が通じなくなりますね。ちょっと気まずい。(笑)
自分が思っていることを、相手が汲み取ってくれたら「ピンポーン!」って音が鳴って光って、相手にポイントが付与されると良さそう。
柳澤
垣内
垣内
ああ、なるほど。私の気持ちを読みとってくれた人にポイントが……ポイントってなんですか?(笑)
ムラムラしたら光るようにしよう。これもシモダさんが言ったということで。
新子
垣内
垣内
シモダさん、申し訳ありません。(笑)
コミュニケーションとはちょっと違う話だけど、ご飯って普通に食べられるの?
柳澤
垣内
垣内
術後は噛めなくなるので、胃にチューブを通して、流動食です。食べている感覚がまるでないのに、満腹になるから、なんだか変な感じがするんですよ。
食べる楽しみがなくなるのは、ストレスだね。目の前でシェフがステーキ焼いて、その場でミキサーにかけて、チューブに流し込んでくれるサービスはどうだろう?
柳澤
垣内
垣内
匂いは良さそうだけど、ミキサーかあ……。うーん。
そっか、固形の方が美味しそうに見えるよね。VRで視覚的には固形のままにしてみる?
柳澤
それでどれくらい食事のストレスが軽減されるか、ちょっと気になる。
新子
垣内
垣内
咀嚼ができないっていうのは、ストレスかもしれないです。
肉の味がするガムを噛むのは?……あ、そもそも噛めないのか。
柳澤
じゃあ、咀嚼音だけヘッドフォンから大音量で流そうか!
新子
話をコミュニケーションに戻そう。無理にカッキー(垣内のこと)が話せるようにならなくても良いと思った!カッキーが経営の会議にあえて出ないことで、組織は成長するかも。
柳澤
垣内
垣内
自走型組織を作っていきたいので、僕もそう願っています!
いっそ、「まったく喋れない経営会議」を確立してみたら?喋らない会議と言えば、やっぱり御前会議だよね。
新子
垣内
垣内
御前会議!?
こう、時代劇とかで、すだれ(御簾)の奥にえらい人が座って、顔も見せずに黙って聞いてる……ってやつ。
新子

アイデア⑤
会議室にすだれを取り付けて、その奥で黙って聞いている

垣内
垣内
えらい人がすだれの奥で一言も喋らないというシチュエーション、ありますね。
あれはその場にいて、聞いてもらっているということ自体に意味があるからね。議論ではなく、意思決定の場。
柳澤
もうちょっとエンタメ性を足そう。たとえば、会議の最後、意思決定する時、ドラムロールと一緒に「賛成かな、反対かな〜?どっちかな〜?」って感じで、すだれが上がる。すだれが上がりきった時、カッキーの表情で、賛成か反対かがわかる。
新子
それはちょっとドキドキして、楽しそう!
柳澤
「あーっ!今日は賛成の表情じゃなかった!ちくしょう!」って。
新子
垣内
垣内
ここでも「目話」が役に立つんですね。今から表情豊かになるよう、顔の筋トレをしておきます。

ここまでの流れを、シモダさんに送ったところ、アイデアを寄せていただきました。

シモダ
シモダ
声が出せない環境でコミュニケーションを取る方法について僕の方でも考えてみました。
シモダ
シモダ
脇(わき)です。
シモダ
シモダ
脇って、空気を含ませて勢いよく挟むと「パ行」を奏でられるのは、皆さんもご存知だと思います。これって人間が持つ「可能性」なんです。まだ人類の力では、脇で「パ行」しか奏でられませんが、努力家の垣内さんのことですから、訓練次第で「サ行」も奏でられるようになるはずです。
シモダ
シモダ
仮に目から血が出るほど過酷な訓練を行ない、2週間後に「サ行」をマスターしたとします。そうすると「パ行」と「サ行」を奏でる垣内さんが誕生します。この状態でできることの多さといったら凄まじいものがあります。例えばW杯の頭突きでお馴染み・ジダン選手に「パス」と声で求めることができるようになります。他にも両替所で「ペソ」に換金することが可能になったり、脇で奏でた「サ」に合わせて濁った音の屁を同時に放つことで「ピザ」を注文したりすることも実現可能になります。
シモダ
シモダ
だから、頑張ってほしいです。

シモダさん、タイの山奥からアイデアをありがとうございました!

後編では、垣内が退院した後、スイスイ移動できる車いすのアイデアをいただきます。
後編は1週間後、公開予定です!

WRITER
執筆・編集
岸田奈美
1991年生まれ、神戸市出身。下半身麻痺で車いすユーザーの母(ひろ実)と、生まれつきダウン症で知的障害のある弟(良太)と暮らす。亡き父の才能をくまなく受け継ぎ、自分が愛するものに関して、100文字で伝わることを2000文字で伝える。株式会社ミライロの創業メンバーで、6年間広報部長を務めたあと、社長特命担当・スロウプ編集長に就任。

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